11人の娘。が見せてくれた景色〜ロッキン備忘録〜

 

2019年8月10日、モーニング娘。の歴史に新たな一ページが刻まれた。50分間のパフォーマンスをやり終えた彼女たちの表情は、おそらく、世界で一番清々しく晴れやかなものだった。

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モーニング娘。ROCK IN JAPAN FESTIVALに出演する当日、精神状態が全く安定しないまま3時に起床し(睡眠時間3時間弱)、のそのそと勝負服(公式ベースボールシャツ)を身に纏い、今回付き合ってくれた非ヲタの友人の運転でTokyoという片隅を出発した。

気合が入りすぎて開門の2時間前に到着した私たちは入場と同時にクロークに荷物を預け、そこから競歩並みの早歩きでロッキン最大ステージであるGRASS STAGEに向かった。

 

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1年振りに見るGRASS STAGEだったが、

マジで広い。

ステージが発表されてから心構えはしてきたつもりだったが、改めてその広大さに口をあんぐりしてしまう。

 

彼女たちのパフォーマンス自体には何ら不安を感じていなかったが、何よりの不安要素は認知度だった。

正確に言えば「グループ名自体は超有名だが、"今の"モーニング娘。がどんなメンバーで構成され、どんな楽曲を持ち、どんなパフォーマンスしているかが知られていない」。地上波の音楽番組への出演機会は少ないし、フェスのようなイベントに出ることもロッキンを除いてはほとんどない。(だって他の日のグラストップバッターはあのゆずさんとか欅坂さんとかTVでめちゃめちゃよく見かける皆様……)

そんな"今の"モーニング娘。のステージに集まってくれる人はどれ程いるのだろうか。前の週のようにアイドルグループが集まっている日ではないので、所謂ドルヲタの援軍も望めなかった。

もしオーディエンスが集まらなかったら…この広大なステージが埋まらなかったら…そんな不安感がひたすら脳内をグルグルしていた。

 

「とにかく場所を確保しよう」とステージから少し離れた柵前を確保し、そこから超心臓に悪い2時間半が幕を開けた。

8時、8時半、9時、9時半…と時間が経過していく割に、観客は増えていかない。

更に、不安なヲタクに追い討ちをかけるようにTwitter「公式のツアーバスが一部開演時間に間に合わない」という情報が流れてきた。都内の主要駅から会場までのツアーバスが高速道路での事故の影響で渋滞に巻き込まれ、かなり多くの人が最初のステージの開始時刻に間に合わないという。

ここでついにヲタクの不安感はMAXとなり、友人と会話してても完全にうわの空な状態となる。10時を過ぎると緊張でお腹がひたすらに痛くなり、胃までシクシクしてきた。遂に友人との会話のネタも尽き、あとはひたすらに祈りながら開始を待った。

 

そして、10分前になり、ステージ上になんだかとても素敵なおじさまが登場した。なんでもこの方が、フェスを主催しているロッキング・オン・ジャパン代表の渋谷社長だという。

渋谷社長はモーニング娘。についてこのように語った。

(去年のレイクステージで)初めて見る人達もすごく多かったと思うんですけど、彼女たちは本当に鮮烈な印象を残してくれました。

何が凄かった、って言えば、彼女たちはロックフェスだからっていってロック仕様になった訳ではなくて、いつも通りのパフォーマンスをやって、あれだけの熱狂を繰り広げてくれた訳です。

まさに、モーニング娘。を、このフェスは発見した訳です。

彼女たちのことをここまで高く評価し、リスペクトしてくれているなんて夢にも思わなかった。ここで既にヲタクの涙腺は決壊寸前である。

そして、渋谷社長は続け様にオーディエンスにこう呼びかけた。

今日ここで集まっているみんなは、レイクステージがこのグラスという巨大なステージになった時のモーニング娘。をなんとか勝たせたいという人たち、そして、彼女たちの勝利を目撃したいという人たち、そういう人たちで埋まっています。

みんな、彼女たちの勝利を見たいという思いだと思います。

勝たせたいじゃないですか!

彼女たちを普段から熱心に追いかけている人ほど今回のGRASS STAGEがどれほどチャレンジングなことであるかを理解していたと思う。だからこそ、せめて景色の一部になろうと沢山のヲタクたちが集っていた。この言葉はそんな私たちを燃え上がらせるには十分すぎるものだった。

 

絶対に勝たせたい。

一番盛り上げたい。

最高の景色を見せたい。

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黄緑とオレンジの鮮やかな衣装に身を包み、彼女たちはフードを被ってステージ上に現れた。

そして、フードを外したその瞬間、完全に戦闘モードのギラギラとした娘。たちがそこにいた。

 

【セットリスト】

  1. みかん
  2. 気まぐれプリンセス
  3. I surrender 愛されど愛
  4. 恋愛レボリューション21
  5. シャボン玉
  6. ザ☆ピ〜ス!
  7. 泡沫サタデーナイト!
  8. LOVEマシーン
  9. One・Two・Three
  10. 青春Night
  11. Are you Happy?
  12. わがまま 気のまま 愛のジョーク
  13. What is LOVE?
  14. ここにいるぜぇ!

 

みかんのイントロが流れた瞬間、自分でも驚くぐらいの声が出た。自然と、腕がちぎれそうな程拳を高く突き上げていた。

"何度も夢を見てきた 諦めたりはできない"

初めてのGRASS STAGE、歴代最高規模のステージの一曲目にこれほど相応しい曲はあるだろうか。

そして、モニターには素晴らしい光景が映っていた。

 

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感無量だった。

これだけ大勢の人が、今この瞬間、つんく♂さんの思いが詰まった楽曲を聴き、彼女たちの熱いパフォーマンスを見ていると思ったら涙が出た。

 

正直に言うと、感情が忙しすぎてそこからの記憶があまりない。

ただ、これだけは言える。

 

私たちが"勝たせる"なんておこがましい。

勝ったのは彼女たちで

あれだけ大勢の人々を盛り上げたのは彼女たちで

最高の景色を私たちに見せてくれたのは、他でもない彼女たち自身だった。

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終演後、リーダーの譜久村聖ちゃんはブログにこう綴った。

モーニング娘。が輝けるのは
この人達がいるからだ✨ って強く思いました。

GRASS STAGEから見る景色
最高過ぎました‼️‼️‼️

私たちをここに連れてきてくれた皆さん
ありがとうございました

こちらの台詞を全部先に言ってしまう、そんな愛に満ち溢れた譜久村リーダーが大好きだ。

 

でも、改めて言いたい。

 

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私たちにこんなに素晴らしい景色を見せてくれてありがとう。

 

そして、まだ夢の途中のモーニング娘。をこれからも変わらず見守っていく。

だって彼女たちはいつの時代も必ず「ここにいる」のだから。

 

推しが6万人のステージに立つ日〜未知の景色と娘。たち

2019619日、その知らせは突然やってきた。

 

 

愛してやまない結成22年目の超老舗アイドルグループ・モーニング娘。が、日本最大の野外フェスと言われるROCK IN JAPAN FESTIVALの、中でも最大のステージであるGRASS STAGEに立つという。

いまいちピンとこなかったのでとりあえずキャパシティを調べてみるとそこには6万人という文字が。私は思わず呟いた。

 

「6万人って何人?????」

 

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長きにわたりヲタク生活を送ってきた私は、某イケメンギター弾きや男性アイドル、某歌姫など様々なものに熱を上げてきたが、今から6年ほど前に偶然YouTubeでミュージックビデオを観たことをきっかけモーニング娘。と衝撃の出会いを果たした。

 

 

若くてキラキラとしたエネルギーに満ち溢れたメンバー、パワフルでありつつキュートで、かつ洗練されたパフォーマンス、そして唯一無二のつんく♂ワールドの中で生み出された個性豊かな楽曲達。

当時のメンバーは殆どが中高生だったため、「私、実はロリコンだったのか…?」なんて心の中で1人葛藤をしつつも、女性アイドルになんてほぼ興味を持ったことが無かった人間はすっかりその魅力に取り憑かれ、それまで好きだったコンテンツもそこそこにのめり込んでいった。

そして、縁あって初めて体験することとなったコンサートで受けた衝撃は、それこそ、初めてミュージックビデオを観たときのそれとは比べ物にならないもので、あまりの素晴らしさに興奮と動悸と震えが止まらなかった。

 

モーニング娘。は多分、皆が皆絶世の歌姫ではないし皆が皆一流ダンサーではない。容姿だって、全員が所謂くっきり二重というわけではないし、全員がモデルのようなスタイルでもない。

だが、メンバー全員が集まってパフォーマンスをしたときの爆発的なパワーとオーラ、そして、汗びっしょりになりながら歌って舞って魅せるメンバー一人ひとりの健康的な美しさは、絶対に他に勝るものはないと思っている。 

 

いつだったか石田亜佑美ちゃんが「ステージ上では命を削ってる」といったようなことを言っていたが、本当にその言葉通りで、誰一人一瞬たりとも力を抜いたりしない。

捻くれ者の私はもともと「全力」とか「精一杯」とか、そのようなことを謳ったアーティストが暑苦しくて苦手だった。しかし、そんな人間のガチガチの心を、彼女たちの「全力」はいとも簡単に溶かしてしまった。

今では全国ツアーには欠かさず通い、彼女たちの姿を見ては時折涙を流す、そんな人間に進化した。退屈だった日々も瑞々しい彼女たちのお陰で随分と彩りのあるものになった。

 

そんな中で、「こんなに素晴らしいグループが今いる限られたファンだけに知られている存在で良いのか?」という思いが自然と大きくなっていった。

そして、昨年初めてロッキンのステージに立った娘。たちを見て、初めてコンサートを観た時のあの他で味わうことのできない高揚感が蘇ってくるとともに、その思いは爆発した。

 

 

真夏の野外ステージで真っ赤になりながらピカピカの笑顔で持ち時間をめいいっぱい使って全身全霊でパフォーマンスをする彼女たちの姿は本当に綺麗だった。素直に、もっと沢山の人と、「この感動を共有したい」と思った。

 

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そして決まった今回のグラスステージ。

メンバーたちが現状に感謝しつつ「もっと大きなところで(コンサートを)やりたい!」と言うのを見てきたし、ヲタクたちからも常々アリーナやドームに立つモーニング娘。が見たいという声が上がってきた。

 

5年前、今では伝説となった8代目リーダー・道重さゆみちゃん横浜アリーナでグループを卒業する時、スピーチでこんなことを言っていた。

「後輩たちに見せたい景色がある」って、今までいろんなインタビューやテレビでも言ってきたんですけど、私は、この景色を見せてあげたかったんです──。これが、私にできる最後の恩返しです。今回は私が卒業ってことで、ここに立つことができたけど、これからは、単独のコンサートでみんなにもここに立って、この景色を見てほしい。そして私の知らなかったような、もっともっと大きな景色をみんなには見てほしい。その時は、みんなから見る景色の一部に、さゆみもいると思います。

 

グラスステージは、このときさゆが言っていた「もっともっと大きな景色」だ。そして、それは間違いなく

"今の"モーニング娘。のメンバーが彼女たち自身の力で掴み取った念願のステージだ。

 

だから、この機会に沢山の人にモーニング娘。を知ってほしいし、彼女たちを見て少しでもハッピーになってほしいなと心から思っている。6万人で幸せをチョイス出来ない私はこっから脱出Get awayしたい。

 

 

6万人のステージでも、変わらず彼女たちは200%の力で目の前のオーディエンスを幸せにしてくれるはずだ。

そして、恐らく、私もいつも通り終演後こう言っているだろう。

 

モーニング娘。さん優勝!!!!!!!!」